2024年12月13日に開かれた与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(与党PT)によるヒアリングで、西脇知事は現行の「小浜ルート」について、住民の不安や懸念を背景に、トンネル工事による地下水への影響、建設残土の処分地確保、工事による交通渋滞、文化・歴史的建造物への影響、車両基地予定地の治水などの「施工上の課題」を示しました。また、京都仏教会が、西脇知事や松井京都市長に、現行の延伸計画は「千年の愚行」として、計画の再考を求め申し入れるなどの動きの中で、与党PTは 同年12月20日の会合で詳細ルート決定と2025年度中の工事着工を断念する事態に追い込まれています。
2024年8月国土交通省は、北陸新幹線の建設費が当初の2兆1千億円から最大2.5倍の5兆3千億円に膨らむ試算を示しました。新幹線建設の「着工5条件」の一つである、費用対効果=「1.1」を下回ることになり、着工条件の前提も崩れています。京都府や府内自治体の負担額がどうなるのか明らかになっていないもとでも、京都府知事は建設推進の立場です。
物価高騰で苦しくなる府民の暮らしと営業を最優先にしなければならないときに、不要な大型事業に多額の税金をつぎ込むことは許されません。
地下40m以深の大深度地下トンネルをめぐっては、2020年10月に、東京都調布市で東京外郭環状道路工事により陥没事故が発生、多くの住宅が被害を受け大問題になりました。また、リニア中央新幹線の工事でも、東京都品川区や町田市で原因不明の気泡や水の噴出が起こり不安が広がっています。
こうした住宅街の地下工事を住民への説明も同意もなく可能にしているのが「大深度地下の公共使用に関する特別措置法」。
京都でも適用されれば重大な被害が考えられます。加えて、京都府北中部は自然由来のヒ素濃度が高く、掘削残土の30%は遮蔽シートで覆ったり中間処理が必要な「対策土」と推定されています。しかも、この大量の残土の処分地について、松井京都市長は「京都市域に処分地があるかと言われば非常に困難」と述べています。
南丹市美山町田歌区の住民の方は「(トンネル工事による)残土を運ぶために大量の大型車両が10年以上も狭い山間部を通るなら環境が激変してしまう」「この計画を知っていたら移住しなかった」と怒りの声をあげられ、環境アセスメントの受け入れを拒否しています。
にもかかわらず、鉄道運輸機構は不在地主の土地を調査してアセスは完了しているというとんでもない認識を示しています。(詳細は国交省レクの動画をご覧ください)